nagi1000337の備忘録

一人のオタクの備忘録

シャニマスのコミュのいいところを考えてみる

 お久しぶりです。

 最近(とは言っても10月からですが)はシャニマスにハマっています。しばらくブログは書いてませんでしたが、久しぶりに書いてみようと思い立ったので書きます。

 最近はコンテンツを渡り歩いてばかりで、そろそろ終着点にしたいなと感じています。シャニマスは割と好みにズバリ突き刺さるコンテンツなので、ここしばらくは離れずにいられそうでし。他には男版バンドリのArgonavisにお熱です。原作小説好きにはたまらない作品ですから、この記事を見るバンドリーマーさんはほぼいないでしょうが、是非触れてみるのをオススメします。BanG_Dream!を主軸にバンドリとは全く毛色の違う物語が描かれています。

 

 さて、少し長くなってしまった前置きはここで終わるとして、

 今回はシャニマスのコミュのいいところを考察してみたいなと思います。

 

目次

 

 

始めに

 ブログでシャニマスについて触れるのは初めてだったはずなんで、簡単な説明。

 シャニマスとはアイドルマスターシャイニーカラーズの略でして、enzaというブラウザでゲームが出ています。(とは言ってもアプリでも出ていますが)

  名前の通りアイドルマスター系列の作品でして、けれども最近2周年を迎えたばかりのまだまだ新しいコンテンツです。

 まあ、言葉で説明するよりもやった方が100倍早いでしょうから、気になった方はURLから飛んでプレイしてみてください。ブラウザゲーなのでアプリを落とさずに、しかもPCでプレイ出来ますよ。

アイドルマスター シャイニーカラーズ(シャニマス) | バンダイナムコエンターテインメント公式サイト

 

 さて、そんなシャニマスですが、コミュが良いと評判です。

 実際、筆者が見てきた(とは言ってもバンドリ、ミリマス、Fateぐらいのものですが)中で1,2を争うぐらいに、良い。

 これは触れてもらったらわかるのですが、他のものとは圧倒的に毛色が違うんですよね。具体的に言うとアニメ。静止画のはずなのに、アニメを見てる気分になるんです。

 今回はそんな謎を解明すべく、アマゾンの奥地へ向かおうという訳です。

(とは言っても筆者は別にプロでもなんでもないただの気持ちの悪いオタクなので、そんなに深い話は出来ないと思うので、そこは温かく見守っていただけると幸いです)

 

シャニマス』は他とどう違うのか?

 さて、シャニマスのコミュは所謂紙芝居形式です。ギャルゲーやエロゲーなんかで長年使われてきた表現方法です。

 もちろん、タイトルによって様々な工夫が凝らされていて、一枚絵を挟んでみたり、アニメーションを挟み込んでみたりなど様々です。

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fateの原作、stay nightでは、背景や一枚絵の上に地の文も含めた文章が

貼り付けられている形となっている。

 

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バンドリでは背景にキャラが立っているオーソドックスなシステムに加えて、

Live2Dで作られたのキャラが仕草をとる。

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こちらは同じアイマスのミリオンライブ。

こちらもキャラが動くが、こちらは背景も3Dで作られている為、

キャラに合わせて背景も動くようになっている。

 

 さて、ではシャニマスはどうなっているかというと

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 このように背景の上にキャラがいて、テキストが入るようになっている。

 また、fateのように地の文はついていない。

 上にあげたものの中で言えばバンドリに近いシステムだと言えるでしょう。

 

 では、シャニマスはバンドリのようなシステムだからコミュがいいのかと言うと、そうでもない。

 元々、バンドリの良さはシステムに由来するというよりも、ストーリーや関係性の構築の仕方によるものが大きい為、システム的にバンドリが圧倒的に優れているということはないでしょう。

 では、シャニマスにはどのような特徴があるのでしょうか?

 

シャニマスの特異的な表現

 実は、シャニマスには他のノベルゲーにはあまり見られない表現が多く用いられているんです。

 

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 まずはこのシーン。キャラが映っていません。

 これはシャニマスがよく使っている手法なのですが、あえてキャラを映さないことによって、そのシーンがどのような状況なのか、どのような表現をしているのかは読者に委ねられることになります。

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 また、背景に色を使うことによって、そのシーンがどのようなシーンであるのかを視覚的に認識することが出来ます。

 

 もちろん、これだけではありません。シャニマスに置いては”音”も重要な表現材料となっています。

 常套手段で言えば深刻なシーンではBGMを流さない。日常シーンでは日常のテーマが流れる等です。これらは全てのゲームがやっている表現方法ですが、シャニマスではそれに加え、様々な工夫が為されています。

 

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 例えばこのシーン。背景で居酒屋ということがわかりますが、BGMはなく、居酒屋で賑わう人の雑踏が聞こえてきます。

 もちろん、このシーンだけではありません。街中ではこれとはまた違うざわめきが、雨の日には雨音が、河川敷や公園では鳥の声が。シャニマスではその時々にあった「日常」が音声を通して読者の耳に届けられます。

 上の写真では第三者視点ではありますが、あたかも自分もその中で会話を聞いているかのように錯覚してしまいます。

 それはその音がどこか聞いたことのある音であり、そして僕らはそれを体験したことがあるので、それぞれの個人によって最適化された場面の中でその場面を体験することが出来ます。

 没入感がとても上っている訳ですから、そのコミュで得られる感動は何倍にも膨れ上がります。コミュが終わった後、心の芯を撃ち抜かれたような錯覚に陥るのは、この”音”が、世界に誘ってくれるからに違いないでしょう。

 

 さて、ここまで来ると感のいい方は気が付くかも知れませんね。そうです、これらはアニメーションにおいてよく使われる表現方法なんです。

 詰まるところ、シャニマスの表現方法というのはアニメの技法を用いた地の文のない小説であり、動かないアニメとも言える訳です。

 

小説的表現

 では、そんなアニメの技法を用いた地の文のない小説にはどのような強みがあるのでしょうか?

 小説の主な特徴と言えば、地の文です。

 

地の文

小説や戯曲などで、会話や引用などを除いた文章。

                       大辞林 第三版より引用

 

 地の文では主に情景や心情、心理、説明文等が書かれます。

 シャニマスにはこれがありませんから、これを何かで補っているという訳ですね。

 

 シャニマスではあらゆる手段を使って地の文を言葉以外の手法で表現します。

 

 例えば、音。

 先ほど述べたように、一切の描写を必要とせずに音だけで世界の中に誘われてしまいます。

 

 例えば、背景。

 公園、街、事務所などの背景だけでなく、色を使うことで、視覚的に状況や心理を捉えることが出来ます。

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 例えば、声。

 微妙なニュアンスの違いが声によってダイレクトに伝わってきます。

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イベント『薄桃色にこんがらがって』の一幕。

この二つの「あー」。

ひらがな一文字と伸ばし棒と三点リーダーに声がつくだけで

彼女の気持ちは痛いほど読者に伝わってしまう。

 

 さて、シャニマスの表現が小説に置ける地の文を補っていることわかりましたが、アニメとはどのような差別化が図られているのでしょうか? 見ていきましょう。

アニメ的表現

 アニメーションとシャニマスの違いは、「動くか動かないか」です。

 当然のことながらアニメは動きますし、シャニマスは基本的には動きません。

 一般的な価値観として、アニメと静止画であればアニメの方が優れていると答える方が多いかのように思います。確かに、アニメの方がコストがかかりますし、その分か、動いていることに感動するのは紛れもない事実です。

 

 しかし、実は静止画にも、思わぬ価値があります。

 実は、人間には事実よりも想像が出来ることを魅力的に感じる傾向があるんです。

 人間は想像力が豊かなので見えないものを都合よく最適化して解釈してしまうんです。もちろん、自分の好きなように解釈しているので、とても魅力的ですよね。

 例をあげるとするのなら、二次創作。何しろ本編には描かれていないことを勝手に取り上げて、物語を作ってしまうぐらいですから、人間の想像好きには驚いてしまいます。

 このテクニックは小説にも使われていて、小説において「説明文は書くな」と言われるのはこの為です。

 

 シャニマスもこれを巧みに利用しています。

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 先ほど挙げたこのシーンもキャラの表情が見えることはなく、背景とキャラの声だけで想像される形になっています。各々違った捉え方をしているのかも知れません。

 

 また、これも先ほど挙げた”音”

 音によって読者にそのシーンを生み出してもらう手法に置いてもこれが強く働いていると言えるでしょう。シャニマスのフィルターに通してしまえば、なんでもない街の描写でさえも、あたかも自分もそこで体験しているかのような感覚を覚えてしまいます。

 

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 はづきさんと千雪さんの関係には熱狂的な多いですが、それは彼女の仲良くなる過程が語られないことにも理由があるのかも知れません。

 このように、所々に想像出来る余地を作ることによってシャニマスの物語はより魅力的に見えます。

 

まとめ

 最後に、ここまでのことを簡単にまとめてみましょう。

・アニメーションの表現方法、小説の表現方法、その両方を使って表現している。

・音にも強く拘っていて、その場所の「日常」を切り取った音は物語への没入感を高めてくれる。

・想像出来る余地を所々に入れ込むことによって、読者側からみて作品をより魅力的に感じさせている。

 

最後に+余談

 もちろん、これは魅力の一部に過ぎません。今回はキャラクターについても、コミュ自体についても一切触れていませんから、これは氷山の一角に過ぎません。

 もちろん、表現にここまで拘っているシャニマスのことですから、コミュもとても魅力的ですし、キャラクターについても、非常に細かいこだわりがあります。これら全てが合わさって、非常に情緒的な雰囲気にあなたも魅了されることでしょう。

 不思議なんですよね、シャニマスのコミュは。何せシャニマスは文学なんて言葉も耳に挟むようになりましたが、地の文は一切ないのですから。

 むしろ、言語がなくたって成り立ってしまうようにすら感じます。ですので、表現としては『芸術』が正しいのでしょうね。

 筆者はたまに「シャニマスは総合芸術」と言っています。まあ、あまりニュアンスは変わらないですね。大切なのは人にそれほど言わせてしまう表現力なのだと思います。

 このような素晴らしいコンテンツに出会えたことに深く感謝をしながら、この記事を終わりにしようと思います。

 ありがとうございました〜