Tieredという楽曲のお話
みなさんこんにちは。お久しぶりです。
気が付けば2023年も1/4が終わってしまったらしいです。恐ろしく早い......
さて、そんな本日3月31日は、逢田梨香子さんのアルバムCurtain raiseの発売から3周年の日になっています。
そんなCurtain raiseには、私が愛してやまないアーティスト、やなぎなぎさんが逢田梨香子さんへ提供した曲Tieredが収録されています。
この曲はやなぎなぎさんが作詞作曲した曲の中でも特に好きな一曲となっています。
今日はそんなTieredについての話をしたいと思います。
Tieredについて
まずはこの曲がどんな立ち位置の曲なのかを説明していきます。
Tieredという楽曲は逢田梨香子さんの1stアルバムであるCurtain raiseのアルバムに収録されている11曲目の楽曲になっています。このアルバムは全部で12曲収録されているので、トリの1つ前の曲となります。
作詞、作曲ともにやなぎなぎさん。
逢田梨香子さんがやなぎなぎさんのファンで、是非なぎさんに歌詞を書いて欲しいとオファーしたことで生まれた楽曲だそうです。
なぎさんは曲を作るにあたり、梨香子さんのパーソナルな部分について話を聞きたいと話を伺い、そこで裁縫が趣味という話に目をつけて、そこから梨香子さんについて掘り進めていって生まれたのがTieredという楽曲になります。
Tieredに込められた物語
まず初めに、このTieredにはどのようなことが描かれているのか辿っていきたいと思います。
Tieredの歌詞は幼い少年が憧れのお姉さんにドレスを贈るものになっています。
歌詞は少年の視点で描かれていて、ドレスを作る過程で憧れの人への想いを募らせ、その想いを伝えるべきかどうかを思い悩む過程が愛おしく描写されているのが魅力的です。
Dメロからの劇的な展開は破裂しそうなほどに高まる憧れと理想に葛藤を抱く大サビには人の心を大きく揺さぶる魔力が秘められています。
結末がどうなったのかはぼかされていますが、これがまた良くて(なぎさん的)結末が視聴者の想像に委ねられています。その道の舗装がどちらともに当てはまるようにけれどもあからさまではないのが上手いですね。
Curtain raiseの中のTiered
Curtain raiseの文脈とTieredの役割について
さて、そんなTieredは逢田梨香子さん初めてのアルバムCurtain raiseに収録された訳ですが、このアルバム内でのTirerdはどのような立ち位置になっているのでしょうか。
Tieredは全12曲中11曲目に収録されています。その為、アルバム中でも山場の立ち位置に存在していると考えられるでしょう。
Curtain raiseでは、逢田梨香子さんのパーソナルな部分を曝け出すような曲が多く収録されています。アルバムで初収録された楽曲の中でもMirror Mirror、ME、光と雨は特にその気が強く、アルバムのテーマを支える骨組みとなっています。
そんな逢田梨香子さん自身の魅力を辿った先に待っているTieredはこれまでの曲とは違い、物語要素の強い曲となっています。
そしてそこでは逢田梨香子さんがモチーフの”憧れのお姉さん”が登場します。
この楽曲はアルバム中で提示されてきた逢田梨香子さんと演じることの関係を汲み取りながらも、それを物語に落とし込むことによって歌の中で”演じる彼女”を物語上のものとして表現することに成功しています。
これはCurtain raiseの表現してきたものの総括......むしろ発展系とすら言えるのではないでしょうか。
二つの立場のアーティスト
さて、そんなTieredですが、この曲が表現する文脈には二つの立場のアーティストが関わることで成り立っています。
二つの立場のアーティスト。それが役者と作り手です。
この内、役者の方には逢田梨香子さんが当てはまります。
では、クリエイターは誰でしょうか。ここで言う作り手は作詞・作曲を手がけているやなぎなぎさんが当てはまります。
やなぎなぎさんは歌手でありながら作曲も手がける所謂シンガーソングライターで、その中でも特に物語を歌にすることに長けている方です。
(昨年12月に発売されたやなぎなぎさん6枚目のアルバムはまさにその極地ともいうべき作品で、歌を紡ぐことで万人が楽しめる物語を作った上、制作の過程までも提供しようとし、ファンを楽しました)
Tieredはそういった作り手が作った物語を役者が演じるという構造が歌という媒体の中で成り立っています。
この距離は永遠だけど
きっと誰よりも一番に
君のこと飾ってみせるよ
↑上記の歌詞がとてもわかりやすいですね。
作り手と役者の距離感、それから作り手が役者に送るその気持ちがストレートに表現されています。
このように役者と作り手の関係性、それがこのTieredを魅力的足らしめている要素であり、ひいてはCurtain raiseの文脈をさらに昇華させる答えになっているのだと思います。
セルフカバーTiered
さて、Tieredにおける作り手と役者の関係について話たところで、やなぎなぎさんの歌うTieredについてもお話をしたいと思います。
やなぎなぎさんの歌うTieredはやなぎなぎさんの10周年記念アルバムRoundaboutの限定版に収録されていて、そこで聞くことが出来ます。
このRoundabout限定版ではやなぎなぎさんが他のアーティストに楽曲提供をした曲を自身でセルフカバーしたトラックが4曲収録されています。
Tieredはこの内の2曲目に収録されていますが、Tieredのみ、楽曲の雰囲気を大きく変化させる程のアレンジが加えられています。
では何故Tieredだけにここまで大きなアレンジが加えられているのでしょうか。
これもおそらく先程の話、つまり役者と作り手の話が関係していると考えています。
セルフカバーアレンジでは少年が憧れる優しくも気高い女性像が一転、優しい母親のような歌い方、及び曲調となっています。まるで伝達された物語に想いを馳せるような、あるいは過ぎ去った出来事を振り返っているような、そんなアレンジです。
これは(歌唱力とはまた別の問題で)やなぎなぎさんが歌えないからということではないかと考えています。
では、何故歌えないのか。
それも先ほどと同様、演者と作り手の構図が関係していると思います。
元々のTieredはやなぎなぎさんが逢田梨香子さんに提供した楽曲です。つまり、逢田梨香子さんの楽曲ということです。それはイコールで演者の曲だということになります。
そして、先ほど述べたようにやなぎなぎさんは作り手側のアーティストです。
なのでやなぎなぎさんはこの曲をそのままでは歌うのは違うと判断し、大幅なアレンジを加えたのではないでしょうか。
実際にRoundabout版のアレンジは物語を客観的に捉えていると感じるような作りとなっています。これであれば物語の語り部の立場でTieredの物語を紡いでいるので、やなぎなぎさんは作り手の立場に立ったままTieredを歌うことに成功しています。
歌詞について
次に、この曲の歌詞についての話をしましょう。
先ほども述べた通り、Tieredの歌詞は物語仕立てとなっています。
それは憧れのお姉さんにドレスを作って送る少年の物語。少年はお姉さんに対し、明確に好意を抱いているものの、それを伝えることはせず、お姉さんを一番綺麗に着飾ることで、特別な想いを思い出の中に刻み込もうとするというものです。
お姉さんは逢田梨香子さんがモチーフとなっており。歌うというものになっています。
さて、この曲なのですが、逢田梨香子さんをモチーフにした楽曲でありながらも、歌詞にはやなぎなぎさんらしい要素がたくさん詰め込まれています。
少年という視点について
この物語で目を引くものの一つとして、憧れる側の人間が少年であることが挙げられます。これはおそらく手癖のようなもので、やなぎなぎさんが歌詞の主人公を描く際、それが大人である場合は主人公は女性となりますが、それが子供であった場合、その主人公は少年と描かれることが多いことから来ていると思われます。
そう考えると、この楽曲はなぎさんの視点から逢田梨香子さんを見た歌詞とも言えるでしょう。けれどなぎさんがそのまま物語の中に登場するという訳でなく、あくまでも得意な視点から参加するに留まっているように見えます。その辺の線引きはしっかりとされているところも含めて、やなぎなぎさんのこの曲に対する思い入れが感じられていいですね。
アクアテラリウムとTiered
次はこの歌詞についてです。
ティアードに潜ませている
微かな想い
見つからなくてもいい
あの日のまま
記憶の中 鮮やかに綴じておけるなら
これはサビの歌詞になります。
ここではアクアテラリウムと同じものを感じることができます。
アクアテラリウムという曲は陸の生き物が海の生き物に恋をする話が描かれています。ですが、その想いは物理的に伝えることが出来ず、陸の生き物は海の生き物を思うだけで幸せだよねという結論に至って終わります。
ここの「好きという想いは抱えているだけで幸せ」という特有の思想はTieredのサビでも表れていると感じることができます。
また、恋をする相手との間にどうしようもない溝があるという点でもこの曲は関連しています。アクアテラリウムではそれが生活圏、Tieredは年齢差となっています。
なぎさんの歌詞で描かれる恋愛観は距離があるものが多く、断絶した中でどれだけ繋がれるのか、もしくは伝わらなかったり叶わなかったりしてもそれをどれだけ愛せるかに焦点が当てられている気がします。
ナッテ
Tieredの歌詞の節々からは「宝物」という言葉が連想されます。
実はこの「宝物」もなぎさんの歌詞のテーマの一部です。
特に、4番目のアルバム「ナッテ」はまさにその宝物をテーマにしたアルバムです。
そしてこのナッテというタイトルは綯うという言葉のもじりになっています。綯うというのは「よりを掛けて縄などを作る」という意味で、裁縫に近いものとなっています。
もしかしたら裁縫から連想したものとしてアルバム「ナッテ」の要素が採用されたのかもしれませんね。
あの子は次亜塩素酸の匂い
あの子は次亜塩素酸の匂いという曲があります。この曲にはTieredがあったからこそ生まれたのではないかという疑いを持つことが出来ます。
これはTieredが発表された直後(Curtain raise20/3/31、あの子は次亜塩素酸の匂い 20/4/9)に突如としてYoutubeにアップされた曲です。
やなぎなぎさんは突き抜けてクリエイターな方なのでスーパークリエイトタイムみたいなものがあって、本当に遊びで作られた曲がポンと上がったり、明らかに早すぎるスピードで
そして、その近くにはなぎさん自身の活動の中で大きな出会いがあることが多いです。
わかりやすいのはアクアテラリウムのCPで収録されたmnemonicという楽曲で、これは明確にアクアテラリウムを経て書かれた曲となっています。
次亜塩素酸も時間があった時にやりたかったことをやってみたと話されていますから、Tieredで膨らみすぎたものの一部が形になったものかもしれません。
少なくとも憧れの女性が出てくるという点では似たようなものを感じることが出来ます。
こちらはTieredよりはもう少しだけ勝機のある恋を楽しめるのかもしれません。土俵が近いかどうかの差ではありますが........
ライブでのTiered
Tieredは4度披露されたことがあると認識しております。
1.Curtain raiseのライブツアー
2.やなぎなぎPFCイベント
3.10th記念ライブビルボード大阪
4.10th記念ライブRoundabout vol5(逢田梨香子さんゲスト回)
この内、3を除いたものはCurtain raiseに収録されたverが基調となっています。(3はおそらくなぎさんのもの)
1.Curtain raiseのライブツアー
こちらはアルバムとは違い、10+1曲中5曲というライブの真ん中の位置での登場となっています。
このライブツアーでは、逢田梨香子さんが白と黒、2つのドレスを身につけることが印象的な公演となっていて、Tieredはその白のドレスを着る最初の曲となっています。
これはTieredの歌詞中で送るドレスが白であるからです。
また、着替え中の間に特殊イントロを流し、さらに逢田梨香子さんの映像を流すことによって、Tieredへの導入を確実なものとしていきます。
そうして満を辞して披露されたTieredは、まさに完璧の一言。完璧な"憧れの女性像"として目の前に広がるそれは、アルバム中で空想した逢田梨香子さんそのもの。
現実に見る物語と現実の融合は正に声優のライブでしか味わうことの出来ない貴重なものでした。
2.やなぎなぎPFCイベント
こちらは2021年に行われたものになります。こちらではTieredを含む4曲のセルフカバーを聞くことが出来ました。
こちらはあくまでもファンサービス的なカバーなのでアレンジは入ってないです。
そんな訳でなぎさんアレンジではないTieredを聴ける珍しいチャンスとなっています。
3.10th記念ライブビルボード大阪
こちらは聞いていないのでわかりません.......感想ください。
4. 10th記念ライブRoundabout vol5
こちらはやなぎなぎさんと逢田梨香子さんが一緒に歌った回となります。
この回で注目したいのは二人の衣装について。
逢田梨香子さんは曲をイメージした白のドレス(ライブツアーCurtain raiseとはまた別)なのに、対し、なぎさんは田舎の娘が着ているようなワンピースちっくな衣装となっていて、歌詞中でいう少年を(あるいはクリエイター側を)イメージした衣装となっています。
Tieredを歌っている間、逢田梨香子さんの姿勢が終始真っ直ぐに伸びていて、思わず「これがプロか......」と思ってしまいました。
こちらもこちらでTieredに込められた文脈に寄り添った素晴らしい演奏でした。
総括
このようにTieredはやなぎなぎさんらしい要素をふんだんに織り交ぜられられています。
しかし、それはやなぎなぎさんが歌う為のものではなく、やなぎなぎさんの属性である作り手ではなくむしろ表現者に向けての曲となっています。
逢田梨香子さんがやなぎなぎさんの大ファンだということも考慮すれば、Tieredという楽曲は作中で男の子が憧れのお姉さんへと送るドレスそのものだと言うことができ、この楽曲に込められたやなぎなぎさんらしい要素は彼女を魅力的に仕立てるTieredといってしまって差し支えないでしょう。
このTieredという楽曲は曲単体としての完成度もさることながら、収録されたアルバムの最も大事な部分に配置されるに相応しい楽曲であり、かつその要素が歌詞の中でも現実でも成り立っている、多面的に魅力溢れる楽曲であることがわかります。
また、やなぎなぎさん自身もその曲に対して真摯に向き合っていて、その思慮深さはセルフカバーから存分に読み取ることが出来るようになっています。
このように作り手が発揮する楽曲の制作に関する魅力から、演者が発揮する圧倒的なまでの世界観の出力。その受け渡しを味わうことが出来るのがこのTieredという曲となっています。
皆さんも二人の表現者が関わることで生まれたこの隠れた怪作Tieredについて深く触れてみてはいかがでしょうか。
それでは。
Extreme Hearts 楽曲で語るRISEとアイドル
気がつけば年の瀬ですね。
今年の私はとても多くのアニメを見た年でした。
着せ恋、明日ちゃんの冬に始まり、春は虹学2期、夏はリコリコやシャインポスト、 Exstreme Hearts、そして冬はDIYやぼっちざろっくと、高校以来のアニメ視聴数かもしれません。(今年以外のアニメも何本か見ている)
中でも今年は特にExstreme Heartsにハマった一年でした。
Exstreme Heartsは明らかな盛りすぎな世界観(アイドル+スポーツ+近未来)と、序盤の駆け足すぎる展開という、ある種失敗するアニメの王道を通りながらも、真っ直ぐで手に汗握る熱い展開と、アニメ外での展開(SxSxS、ブログ)で補完、もしくは掘り下げられる関係性がとても心地の良いアニメでした。
そんなExstreme Heartsの本編はスポーツ8割、日常1割、アイドル要素1割といった構成となっています。日常に関してはSxSxSやブログで保管されていますが、アイドル要素に関して手薄になっていると思われがちです。
しかし、Exstreme Heartsはこのアイドル要素を楽曲によって補完しています。
それはアイドル的な要素だけでなく、主人公陽和がアイドルと向き合っていく過程、そしてシンガーとして成長していく過程を見ることが出来る作りとなっているということです。
今回は主人公、葉山陽和さんの楽曲に焦点を当て、RISEとアイドルの関係について追っていきましょう。
ソングライター葉山陽和について
さて、それでは簡単に葉山陽和の歌手活動について簡単に纏めておきましょう。
葉山陽和は中学時代にソロシンガーとしてデビューしていて、現代で言う歌上手い大賞みたいな番組に出演した経緯を持っています。
作中序盤(高校2年生)で事務所から契約を打ち切られてからは芸能人大会『Extreme Hearts』にソングチームRISE(途中でアイドルチームに変更されている)として出場し、歌方面と野球での外野全般を担当しています。
今回紹介する楽曲は全て彼女が作詞作曲をした曲となります。
楽曲
ソロシンガー時代の楽曲
まずはシンガーソングライター時代の曲について
葉山陽和さんのソロ楽曲はプロ時代に4曲。それから未発表楽曲が1曲あります。
僕たちが聞けるのはその中でもデビュー曲である”青空で逢えるよ”と未発表曲"名もなき花”の2曲です。
・青空に逢えるよ
まずは「青空に逢えるよ」から。
この楽曲はおそらくは作詞作曲は葉山陽和で、応援ソングとなっています。
また、本楽曲は彼女の音楽性であるバラード調の楽曲とギター1本で歌い上げる彼女の実力が如実に現れている楽曲でもあります。
応援ソングとは言っても、この時点では陽和が咲希と出会っていないこと、また故郷の北海道から上京してきたばかりであろうことがあり、歌詞の中に出てくる人物は一人となっています。
自分から不特定の誰かへ、もしくは自分へと宛てた応援ソングですね。
この楽曲のタイトル「青空に逢えるよ」は葉山陽和楽曲ではよく使われる天気ギミックとなっています。
これはゴールを青空に例え、そこにいく過程の困難を雨や嵐で表現するというギミックで、これはRISE時代の楽曲にも受け継がれています。
そんな意味でも、葉山陽和originalな楽曲となっています。
・名もなき花
こちらは未発表楽曲の方。
未発表楽曲だからか、葉山陽和の私信が満載の曲で、小鷹さんに対する気持ちが多く入っていたり、陽和の価値観を垣間見ることができます。
作中で初めて流れる楽曲なのに、最も落ち着いた曲なのが面白いですね。物語のテーマが再起だからでしょうか。物語の始まりではなく、緩やかに沈んでいる物語を表現してくいるのが面白いですね。また、ここで陽和と咲希の既に完成されている関係性を見せつけるところも含めて、アニメExtreme Heartsの導入の楽曲としても見ることが出来ます。
主題からずれてしまいましたが、本楽曲は葉山陽和を知る上では欠かせない大切な楽曲となっています。
RISE楽曲
さて、ここからはRISE楽曲となります。
RISE名義になると、これまで陽和自身のことをその視点で歌っていたところから、「誰かに伝える」という方向を強く意識した楽曲へと変化します。
そのため、楽曲の方向性は変わりますが、葉山陽和の要素はそのまま残っていたりするので、そこにも注目をしたいところです。
・RIise Up Dream
こちらはRise名義初めての曲です。
これまでの葉山陽和名義でのバラードソングからは脱却し、王道の歌になりました。が、アイドルソングにしては強すぎる、まさにシンガーソングライターの書いた曲。
陽和としては「自分の気持ちをストレートに出すだけでなくて、聞いてくれる人の笑顔の為に」として作っているのですが、自分の状況、気持ちをそのまま載せている所は変わらなかったりします。
そんな所は昔の名残を残しながら(どちらかと言えば抜け出せずにいながら)アイドルとしての1曲目を終えます。
ですが、RISEの始まりとしてはとてもらしい曲で、曲の強度としては同じ会場で歌っていたLINK@Dollの「Dreaming Soda」にも負けない曲に仕上がっている為、あの会場を沸かせる説得力のある曲となっています。
・SUNRISE
このアニメのEDで、象徴とも言える曲。
これはつまりSUNRISEという曲名は陽和が有名になっていくSUN(陽和)RISE(上昇)としても読み取れ、まさにこのアニメを端的に表現していると言えるからです。
また、神奈川大会後に作成したRISEのアルバムのタイトルはこの曲からとって「SUNRISE」となっており、いかにこの曲が大切にされているかがわかります。
そんな本楽曲は系統としてはバンドソングで、アイドルとは程遠い曲調となっています。
例えば、この曲のサビで聞ける『心の声感じて飛び出していくんだ』や『どんな時も』のギターフレーズはガールズバンドであるPoppin'Party(バンドリ)の「Yes! BanG_Dream!」や、同じくガールズバンド the peggiesの「グライダー」でも見ることができ、特にバンド的な要素を強く感じることの出来る曲となっています。
・大好きだよって叫ぶんだ
アニメ8話で披露された、初のRISE5人体制での曲です。
RISEの中では、ようやく完成したアイドルらしい曲とも言えます。
ここに至るまで3曲と考えれば、陽和が相当苦戦したと推察出来ます。実際、この曲はとある曲を参考にしたアイドル曲と考えることが出来、それをなんとか繋ぎ合わせて完成した曲と考えれます。
そのとある曲がLINK@Dollの代表曲「Dreaming Soda」。
「Dreaming Soda」の歌詞は切ない恋をテーマにしながらもその巧みな言葉遊びが楽しい楽曲です。
そして「大好きだよって叫ぶんだ」はそんな「Dreaming soda」の切なさの混じる恋というテーマを拝借して、そこに陽和の私信を入れることでRISE楽曲らしさを出した楽曲と言うことが出来ます。それにしてはRISE要素が強いので、どちらかと言えばRISE楽曲にアイドルらしさを足した曲と言った方が正しいかもしれませんが。
ここでテーマの恋と言った要素に注目してみましょう。
本楽曲は陽和の小鷹さんへの想いを依代に恋のテーマを書き上げているのですが、これがあまりにも陽和の感情が入り過ぎていたりします。
”河川敷” ”向日葵” と言う言葉に代表されるように、陽和の置かれている状況とお相手を連想するワードが詰め込まれていて、思わずニヤニヤしてしまいます。
その辺りを見ると、なんだかんだこの楽曲も陽和らしさの詰まった曲だと感じることが出来ます。
総合して、アイドルらしさをより挑戦したRISE楽曲といった評価となると思います。
それにしても「優しさだけじゃなくて強さも必要なんだって教えてくれたあの日」と言う歌詞は告白もう同然じゃないですか違いますがそうですか.......
・Happy Shiny Stories
これ、本当に葉山陽和さんが描きましたか?と思うぐらいにはアイドルらしい楽曲。
BEST4Uのインタビューではみんなの良さを伝えたい!と言う思いで作ったようです。確かに女の子の魅力をたっぷり表現出来る曲で、ソロVerはそれぞれのVerそれぞれの魅力が詰まっているのがGOOD。
ある意味、ここが終着点と言ってもいいかもしれない。
しかし、「全力Challenger」があるのでその話は次曲に持ち越します。
・全力Challenger
SUNRISEがExtreme Hearts1期の象徴する曲ならば、こちらは総決算とも言える楽曲。
曲調としてはシンガーソングライター葉山陽和らしい曲調で、そこにどこかほんのりとしたアイドルらしさも香る仕上がりになっている。
ここの「アイドルらしさ」はアイドルの中でも「キャピキャピした可愛らしい女の子」ではなく、「とりあえず体当たりして見る泥臭さ」と言うアイドルらしさです。
ここが面白い所で、正直なところ、RISEはアイドルを目指しているグループではなくて、あくまでも葉山陽和(歌)を担ぎ上げる為に「スポーツとアイドルをやっている」というアイドルなんです。
だけど、その過程というか、生き様がアイドルらしさを演出しているというのは面白いんですよね。
そんな、アイドルとシンガーソングライター性の融合。それから神奈川県大会の総決算。そんなてんこ盛りの要素を一つにまとめ上げた、まさにExtreme Heartsらしい楽曲であると言えるでしょう。
総括
今回はRISEおよび葉山陽和楽曲を通してRISEとアイドル性についてを追っていきました。
初めは葉山陽和の楽曲はバラード調の音楽性を持つアーティストで、おおよそアイドルとはかけ離れたアーティストでした。それが女子芸能人大会”Extreme Hearts”に出場する上でアイドルとして活動していくようになり、楽曲もアイドル味のあるものを目指してきました。
しかし、最初はうまくいかず、シンガーソングライターの書いた曲感は抜けませんでいた。(曲自体は強い)
しかし、それでも初めは歌詞を自分自身のことだけを歌っていた所から他人にも共感出来るようにと変化させていきました。そこにも苦戦はしていたものの、LINK@DOllの楽曲から参考を得た「大好きだよって叫ぶんだ」から次第にアイドルらしい曲を書けるようになり、「Happy Shiny Stories」でおおよそ全員にアイドルらしさを感じてもらえるような曲を書けるようになりました。
しかし、葉山陽和の音楽性がアイドルに染まった訳ではなく、アイドルらしさとはかけ離れた「SUNRISE」、「全力Challenger」のような新ンガーソングライター的な楽曲も多く書いています。
しかし、アイドルらしさを目指した楽曲にも葉山陽和らしさは残っていて、そこが神奈川県大会集大成の曲「全力Challenger」に繋がっています。
この「全力Challenger」は葉山陽和らしさを100%詰め込んだ楽曲となっていて、けれどその中にアイドルらしい香りの漂うものとなっています。これはRISEの曲名の通り”全力”で目標に向かって走っていく泥臭い活動がある種アイドルらしさが宿った結果だと考えられます。
このように、葉山陽和の楽曲は神奈川県大会を通し、色々な寄り道をしながらアイドルという要素と向き合ってきましたが、そこで自らの作家性を捨てるのではなく持ち続けることにより、シンガーソングライターとして成長することに成功しました。
そして、これは世間でのアニメExtreme Heartsの評価とも合致するように思えます。
Extreme Heartsは本当にさまざまな要素がごちゃ混ぜとなっている言わばイロモノなアニメです。しかし、この作品は主人公をシンガーソングライターに添え、彼女の成長過程を一貫して描き切ることで、この要素過多なアニメをまとめ上げることに成功しました。
これと同じようにRISE楽曲も、アイドルを葉山陽和のシンガーソングライター性を残し続けることによって最後には「全力Challenger」という楽曲にてその両立を成功させることが出来ました。
このように、Extreme Heartsは楽曲の面にも物語があり、また、作中では足りなかったアイドル要素が掘り下げられるので、改めて作品をみてみるとより深い視点で作品を見れるのではないでしょうか。
幸いというべきか、Extreme Heartsは楽曲に関してとても手厚く、全ての楽曲をサブスクにて聞ける他、「Dreaming Soda」以外の楽曲にはそれぞれソロVerも用意されています。(こちらもサブスクで聞ける!)
楽曲をお供にすることで、もう一度、Extreme Heartsについて振り返ってみてはどうでしょうか。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
2023年もいい年になるように願ってこの記事を終わりにしようと思います。
妄想ライブ感想 やなぎなぎ、逢田梨香子SpecialコンセプトライブTiered公演
こんばんは。Tieredの亡霊です。
亡霊過ぎてTieredを最高に引き立たせるライブを頭の中でもいいから作ってみたくて
書いてみました。
頭のてっぺんから足の先までTieredという楽曲に浸れる公演、見てみたくないですか?私は見てみたいので作っちゃいました。
- Tieredについて
- セットリスト
- イマジナリーライブ感想
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生存報告と最近の動向
お久しぶりです。
近況報告と生存報告を兼ねて、最近の動向を書き記します。
・ブログについて
半年ほどサボっていました。すみません。
後述のこともあり、頻繁に更新することはないと思います。
・仕事について
見事にブラック部署を引きました。ここ二ヶ月、連続で80時間残業/月やってます。
一応その分の金はもらってますが、まあ割りに合わないですね(笑)
僕の体力もまあついていけてないので、これからの身の振り方を考えなくちゃいけないですね。
・最近のオタ活について
東京に来た分、イベントについては充実したりしてます。
今年に入って行ったイベントを並べると
・リスアニ両日
・プロセカ幕張ライブ
・静岡旅行(青天を衝け聖地巡礼)
・電音部2nd
・やなぎなぎ10thライブ(ビルボード、vol1,2の計3回)
・マクロス幕張
と凄い量です。
とはいえ、時間自体は見事なまでに仕事に蹂躙されてしまっているので、振り返ったり考察したりする時間は目に見えて減っている......というかほとんど作れていない状態だったりします。
特に最近は、朝6時前に家を出て、夜10時とかに帰ってくる生活(酷い時には夜12時)だったりするので、過労死ラインを見にもって感じています。
GWで休みが取れて死期が伸びたって気分です。
とりあえず、生きててオタクしてますという報告でした。
とりあえず10thのやなぎなぎさんについての記事一つぐらいは作りたいと思います。
それでは。
ワクチン接種レポート(モデルナ一回目)
お久しぶりです。
お仕事の部署正式配属やらお引越しやら合同紙の原稿やらと色々あってブログの方を置き去りにしてしまっていました。
初めは楽に書こうとして始めたのですが、案外書きたいことが多く、気楽に書いていくには時間がかかりすぎてしまっている事態が発生してしまっているので、週一で記録をつけていくことは少し考え直した方がいいかもしれないですね。
さて、本題を進めましょう。
- 初めに
- ワクチンの副反応について
- 腕の痛み
- 発熱
- ワクチン接種のレポート
- ワクチンを打つべきか、打たないべきか
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