気がつけば年の瀬ですね。
今年の私はとても多くのアニメを見た年でした。
着せ恋、明日ちゃんの冬に始まり、春は虹学2期、夏はリコリコやシャインポスト、 Exstreme Hearts、そして冬はDIYやぼっちざろっくと、高校以来のアニメ視聴数かもしれません。(今年以外のアニメも何本か見ている)
中でも今年は特にExstreme Heartsにハマった一年でした。
Exstreme Heartsは明らかな盛りすぎな世界観(アイドル+スポーツ+近未来)と、序盤の駆け足すぎる展開という、ある種失敗するアニメの王道を通りながらも、真っ直ぐで手に汗握る熱い展開と、アニメ外での展開(SxSxS、ブログ)で補完、もしくは掘り下げられる関係性がとても心地の良いアニメでした。
そんなExstreme Heartsの本編はスポーツ8割、日常1割、アイドル要素1割といった構成となっています。日常に関してはSxSxSやブログで保管されていますが、アイドル要素に関して手薄になっていると思われがちです。
しかし、Exstreme Heartsはこのアイドル要素を楽曲によって補完しています。
それはアイドル的な要素だけでなく、主人公陽和がアイドルと向き合っていく過程、そしてシンガーとして成長していく過程を見ることが出来る作りとなっているということです。
今回は主人公、葉山陽和さんの楽曲に焦点を当て、RISEとアイドルの関係について追っていきましょう。
ソングライター葉山陽和について
さて、それでは簡単に葉山陽和の歌手活動について簡単に纏めておきましょう。
葉山陽和は中学時代にソロシンガーとしてデビューしていて、現代で言う歌上手い大賞みたいな番組に出演した経緯を持っています。
作中序盤(高校2年生)で事務所から契約を打ち切られてからは芸能人大会『Extreme Hearts』にソングチームRISE(途中でアイドルチームに変更されている)として出場し、歌方面と野球での外野全般を担当しています。
今回紹介する楽曲は全て彼女が作詞作曲をした曲となります。
楽曲
ソロシンガー時代の楽曲
まずはシンガーソングライター時代の曲について
葉山陽和さんのソロ楽曲はプロ時代に4曲。それから未発表楽曲が1曲あります。
僕たちが聞けるのはその中でもデビュー曲である”青空で逢えるよ”と未発表曲"名もなき花”の2曲です。
・青空に逢えるよ
まずは「青空に逢えるよ」から。
この楽曲はおそらくは作詞作曲は葉山陽和で、応援ソングとなっています。
また、本楽曲は彼女の音楽性であるバラード調の楽曲とギター1本で歌い上げる彼女の実力が如実に現れている楽曲でもあります。
応援ソングとは言っても、この時点では陽和が咲希と出会っていないこと、また故郷の北海道から上京してきたばかりであろうことがあり、歌詞の中に出てくる人物は一人となっています。
自分から不特定の誰かへ、もしくは自分へと宛てた応援ソングですね。
この楽曲のタイトル「青空に逢えるよ」は葉山陽和楽曲ではよく使われる天気ギミックとなっています。
これはゴールを青空に例え、そこにいく過程の困難を雨や嵐で表現するというギミックで、これはRISE時代の楽曲にも受け継がれています。
そんな意味でも、葉山陽和originalな楽曲となっています。
・名もなき花
こちらは未発表楽曲の方。
未発表楽曲だからか、葉山陽和の私信が満載の曲で、小鷹さんに対する気持ちが多く入っていたり、陽和の価値観を垣間見ることができます。
作中で初めて流れる楽曲なのに、最も落ち着いた曲なのが面白いですね。物語のテーマが再起だからでしょうか。物語の始まりではなく、緩やかに沈んでいる物語を表現してくいるのが面白いですね。また、ここで陽和と咲希の既に完成されている関係性を見せつけるところも含めて、アニメExtreme Heartsの導入の楽曲としても見ることが出来ます。
主題からずれてしまいましたが、本楽曲は葉山陽和を知る上では欠かせない大切な楽曲となっています。
RISE楽曲
さて、ここからはRISE楽曲となります。
RISE名義になると、これまで陽和自身のことをその視点で歌っていたところから、「誰かに伝える」という方向を強く意識した楽曲へと変化します。
そのため、楽曲の方向性は変わりますが、葉山陽和の要素はそのまま残っていたりするので、そこにも注目をしたいところです。
・RIise Up Dream
こちらはRise名義初めての曲です。
これまでの葉山陽和名義でのバラードソングからは脱却し、王道の歌になりました。が、アイドルソングにしては強すぎる、まさにシンガーソングライターの書いた曲。
陽和としては「自分の気持ちをストレートに出すだけでなくて、聞いてくれる人の笑顔の為に」として作っているのですが、自分の状況、気持ちをそのまま載せている所は変わらなかったりします。
そんな所は昔の名残を残しながら(どちらかと言えば抜け出せずにいながら)アイドルとしての1曲目を終えます。
ですが、RISEの始まりとしてはとてもらしい曲で、曲の強度としては同じ会場で歌っていたLINK@Dollの「Dreaming Soda」にも負けない曲に仕上がっている為、あの会場を沸かせる説得力のある曲となっています。
・SUNRISE
このアニメのEDで、象徴とも言える曲。
これはつまりSUNRISEという曲名は陽和が有名になっていくSUN(陽和)RISE(上昇)としても読み取れ、まさにこのアニメを端的に表現していると言えるからです。
また、神奈川大会後に作成したRISEのアルバムのタイトルはこの曲からとって「SUNRISE」となっており、いかにこの曲が大切にされているかがわかります。
そんな本楽曲は系統としてはバンドソングで、アイドルとは程遠い曲調となっています。
例えば、この曲のサビで聞ける『心の声感じて飛び出していくんだ』や『どんな時も』のギターフレーズはガールズバンドであるPoppin'Party(バンドリ)の「Yes! BanG_Dream!」や、同じくガールズバンド the peggiesの「グライダー」でも見ることができ、特にバンド的な要素を強く感じることの出来る曲となっています。
・大好きだよって叫ぶんだ
アニメ8話で披露された、初のRISE5人体制での曲です。
RISEの中では、ようやく完成したアイドルらしい曲とも言えます。
ここに至るまで3曲と考えれば、陽和が相当苦戦したと推察出来ます。実際、この曲はとある曲を参考にしたアイドル曲と考えることが出来、それをなんとか繋ぎ合わせて完成した曲と考えれます。
そのとある曲がLINK@Dollの代表曲「Dreaming Soda」。
「Dreaming Soda」の歌詞は切ない恋をテーマにしながらもその巧みな言葉遊びが楽しい楽曲です。
そして「大好きだよって叫ぶんだ」はそんな「Dreaming soda」の切なさの混じる恋というテーマを拝借して、そこに陽和の私信を入れることでRISE楽曲らしさを出した楽曲と言うことが出来ます。それにしてはRISE要素が強いので、どちらかと言えばRISE楽曲にアイドルらしさを足した曲と言った方が正しいかもしれませんが。
ここでテーマの恋と言った要素に注目してみましょう。
本楽曲は陽和の小鷹さんへの想いを依代に恋のテーマを書き上げているのですが、これがあまりにも陽和の感情が入り過ぎていたりします。
”河川敷” ”向日葵” と言う言葉に代表されるように、陽和の置かれている状況とお相手を連想するワードが詰め込まれていて、思わずニヤニヤしてしまいます。
その辺りを見ると、なんだかんだこの楽曲も陽和らしさの詰まった曲だと感じることが出来ます。
総合して、アイドルらしさをより挑戦したRISE楽曲といった評価となると思います。
それにしても「優しさだけじゃなくて強さも必要なんだって教えてくれたあの日」と言う歌詞は告白もう同然じゃないですか違いますがそうですか.......
・Happy Shiny Stories
これ、本当に葉山陽和さんが描きましたか?と思うぐらいにはアイドルらしい楽曲。
BEST4Uのインタビューではみんなの良さを伝えたい!と言う思いで作ったようです。確かに女の子の魅力をたっぷり表現出来る曲で、ソロVerはそれぞれのVerそれぞれの魅力が詰まっているのがGOOD。
ある意味、ここが終着点と言ってもいいかもしれない。
しかし、「全力Challenger」があるのでその話は次曲に持ち越します。
・全力Challenger
SUNRISEがExtreme Hearts1期の象徴する曲ならば、こちらは総決算とも言える楽曲。
曲調としてはシンガーソングライター葉山陽和らしい曲調で、そこにどこかほんのりとしたアイドルらしさも香る仕上がりになっている。
ここの「アイドルらしさ」はアイドルの中でも「キャピキャピした可愛らしい女の子」ではなく、「とりあえず体当たりして見る泥臭さ」と言うアイドルらしさです。
ここが面白い所で、正直なところ、RISEはアイドルを目指しているグループではなくて、あくまでも葉山陽和(歌)を担ぎ上げる為に「スポーツとアイドルをやっている」というアイドルなんです。
だけど、その過程というか、生き様がアイドルらしさを演出しているというのは面白いんですよね。
そんな、アイドルとシンガーソングライター性の融合。それから神奈川県大会の総決算。そんなてんこ盛りの要素を一つにまとめ上げた、まさにExtreme Heartsらしい楽曲であると言えるでしょう。
総括
今回はRISEおよび葉山陽和楽曲を通してRISEとアイドル性についてを追っていきました。
初めは葉山陽和の楽曲はバラード調の音楽性を持つアーティストで、おおよそアイドルとはかけ離れたアーティストでした。それが女子芸能人大会”Extreme Hearts”に出場する上でアイドルとして活動していくようになり、楽曲もアイドル味のあるものを目指してきました。
しかし、最初はうまくいかず、シンガーソングライターの書いた曲感は抜けませんでいた。(曲自体は強い)
しかし、それでも初めは歌詞を自分自身のことだけを歌っていた所から他人にも共感出来るようにと変化させていきました。そこにも苦戦はしていたものの、LINK@DOllの楽曲から参考を得た「大好きだよって叫ぶんだ」から次第にアイドルらしい曲を書けるようになり、「Happy Shiny Stories」でおおよそ全員にアイドルらしさを感じてもらえるような曲を書けるようになりました。
しかし、葉山陽和の音楽性がアイドルに染まった訳ではなく、アイドルらしさとはかけ離れた「SUNRISE」、「全力Challenger」のような新ンガーソングライター的な楽曲も多く書いています。
しかし、アイドルらしさを目指した楽曲にも葉山陽和らしさは残っていて、そこが神奈川県大会集大成の曲「全力Challenger」に繋がっています。
この「全力Challenger」は葉山陽和らしさを100%詰め込んだ楽曲となっていて、けれどその中にアイドルらしい香りの漂うものとなっています。これはRISEの曲名の通り”全力”で目標に向かって走っていく泥臭い活動がある種アイドルらしさが宿った結果だと考えられます。
このように、葉山陽和の楽曲は神奈川県大会を通し、色々な寄り道をしながらアイドルという要素と向き合ってきましたが、そこで自らの作家性を捨てるのではなく持ち続けることにより、シンガーソングライターとして成長することに成功しました。
そして、これは世間でのアニメExtreme Heartsの評価とも合致するように思えます。
Extreme Heartsは本当にさまざまな要素がごちゃ混ぜとなっている言わばイロモノなアニメです。しかし、この作品は主人公をシンガーソングライターに添え、彼女の成長過程を一貫して描き切ることで、この要素過多なアニメをまとめ上げることに成功しました。
これと同じようにRISE楽曲も、アイドルを葉山陽和のシンガーソングライター性を残し続けることによって最後には「全力Challenger」という楽曲にてその両立を成功させることが出来ました。
このように、Extreme Heartsは楽曲の面にも物語があり、また、作中では足りなかったアイドル要素が掘り下げられるので、改めて作品をみてみるとより深い視点で作品を見れるのではないでしょうか。
幸いというべきか、Extreme Heartsは楽曲に関してとても手厚く、全ての楽曲をサブスクにて聞ける他、「Dreaming Soda」以外の楽曲にはそれぞれソロVerも用意されています。(こちらもサブスクで聞ける!)
楽曲をお供にすることで、もう一度、Extreme Heartsについて振り返ってみてはどうでしょうか。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
2023年もいい年になるように願ってこの記事を終わりにしようと思います。