こんばんは。Tieredの亡霊です。
亡霊過ぎてTieredを最高に引き立たせるライブを頭の中でもいいから作ってみたくて
書いてみました。
頭のてっぺんから足の先までTieredという楽曲に浸れる公演、見てみたくないですか?私は見てみたいので作っちゃいました。
Tieredについて
さて、このTieredという楽曲、非常に魅力的な作品でこそあれど、何かのアニメのタイアップとかではないので詳しく知っている人は少ないと思います。
ですので、ここで一度私の解釈にはなってしまいますが、簡単にこのTieredがどのような楽曲であるかを説明したいと思います。
Tieredは逢田梨香子さんの1stアルバム”Curtain raise”に収録されている楽曲です。作詞、作曲ともにやなぎなぎさんが務めていて、やなぎなぎさんの10th ANNIVERSARYアルバムである”Roundabout”にもやなぎなぎさんがセルフカバーしたものが収録されています。
この楽曲はストーリー仕立てとなっていて、簡単に説明すると憧れのお姉さんに少年がドレスを作ってプレゼントする物語となっています。
これはやなぎなぎさんが逢田梨香子さんについての楽曲を書く際に、逢田梨香子さんの趣味を聞き、その際に手芸とあったのでそれをテーマに書いたそうです。そう言った経緯もあってか、お姉さんの中に逢田梨香子さんのイメージが少なからず入り込んでいたり、また、お姉さんを観察する側の視点(少年)も、やなぎなぎさん思想、視点が随分入っていたりと、逢田梨香子さん、やなぎなぎさんが半ば登場するようなものとしても見れるようになっています。
今回はその物語の魅力に囚われてしまった私が、この楽曲に焦点を当てた際にどのようなセットリストを作り上げられるかを妄想し、感想形式で説明をするといったものとなります。
出来るだけ物語の文脈に寄り添いながら、素敵な世界観を表現出来るセトリを組んでこれたと考えておりますので、よろしければオタクの妄言に付き合っていただけると幸いです。
セットリスト
2.はじまりの記憶(やなぎなぎ)
3.Special Pack!(やなぎなぎ)
〜朗読劇1〜
4.あの子は次亜塩素酸の匂い(やなぎなぎ)
5.水の中の雲(やなぎなぎ)
6.euaru(やなぎなぎ)
〜朗読劇2〜
10.Mirror Mirror(逢田梨香子)
11.夜明けの光を集めながら(逢田梨香子)
12.光と雨(逢田梨香子)
13.ME (逢田梨香子)
14.星灯りの街灯(やなぎなぎ)
15.Tiered(逢田梨香子Ver、やなぎなぎ、逢田梨香子)
〜朗読劇3〜
17.夏凪ぎ(やなぎなぎ)
18.恋歌〜特殊イントロ
20.natte(やなぎなぎ)
イマジナリーライブ感想
まず初めの曲はTiered。こちらは逢田梨香子さんのVer。
このライブのコンセプトを示すにはこれが最適。優しく力強い音楽を聴きながら、観客は各々イメージを膨らませていく。
さて、この物語の主題となる楽曲を堪能したところで、まずは少年(やなぎなぎさん)のパートとなる。
少年パートの最初は世界観を共有するような楽曲が歌われた。
「はじまりの記憶」、そして「Special Pack!」。
劇伴で大活躍している小瀬村晶さん透き通った音楽が、この物語の舞台を設定し、さらにその世界観に連れて行ってくれる。続いて「Special Pack! 」も素敵な夏の情景はそのままに、少年の夏休みを心ゆくまで演出してくれた。
会場が爽やかな夏の雰囲気で覆い尽くされたところで、朗読劇が始まる。
語り部はやなぎなぎさん。やなぎなぎさんの語りで少年が近所に住むお姉さんに憧れを抱いている様子が描かれる。
語りが終わると「あの子は次亜塩素酸の匂い」が始まる。この曲の演出は非常に印象的だった。
曲の途中では逢田梨香子さんが登場した。決して表情を見せない奥ゆかしさは見事に曲中の”あの子”と重なる。”あの子”はとても魅力的で、そんな逢田さんを綺麗だと思う感覚が、朗読劇中でのお姉さんに憧れる少年と重なる。
ライブ序盤、落ち着いた話ながらも、的確な演出と見事な歌声で観客の心は見事にやなぎなぎの世界観に誘われてゆく。
続いての曲は「水の中の雲」。曲として珍しいこともさることながら、この曲の隠し持っている切なさの要素に息を呑んだ観客は多いだろう。やなぎなぎさんの綺麗な歌声が、どこか心に突き刺さる。後半の綺麗という感覚がもたらす終わりの予感が、密かに迫る失恋の匂いを連れてくる。
次の曲「euaru」は、「水の中の雲」の流れのままにその幼い恋の限界がしっとりと歌われた。
続いて、逢田梨香子さんが現れ、デュエットで「Toy.Toi.Toy」を歌う。
この曲がまた絶妙で、「二人の秘密さToy,Toi,Toy」とあるように、近所のお姉さんという幼馴染とも少し違う特異な関係性の奥ゆかしさを可愛らしく歌ってくれた。
続いての楽曲は「アクアテラリウム」。
この「アクアテラリウム」は「Tiered」と似たものを歌った曲になっている。
アクアリウム(水中)、テラリウム(陸上)。アクアテラリウムとはこの二つを組み合わせた造語であるが、この曲はその二つの間を越えようとする陸上の生き物の愛の曲になっている。
「Tiered」も同じだ。年齢に隔てられた少年の儚い恋が優しく、けれども気高く表現されている。
そう、「Tiered」は失恋の物語。
それを伝えるかのように、逢田さん、やなぎなぎさんの二人が台本を持つ。
2回目の朗読劇の内容は、二人の日常会話とすれ違いが描かれる。すれ違い、とはいえば聞こえはいいものの、そのすれ違いは二人の価値観の違いだ。
まるで陸の生き物が水の中の生き物にものを伝えようとするように、二人の価値観が噛み合わない。二人を隔てているものは、時間。
大きな歳の差は、二人の間に埋めることの出来ない溝を作っている。
さて、朗読劇が終わるとライブは逢田梨香子さんのパートに移る。こちらは少年の恋する”お姉さん”側の話だ。
逢田さんパート最初の曲は「時間は窓の向こう側」。
無常にも二人の間を隔てる”時間”の要素を全面に押し出してくるこの曲は、それだけではただ無常な冷たさを感じさせる。
だけど、”お姉さん”も、少年に対して何も感情を抱いていない訳ではない。お姉さんはお姉さんで、大人だからこその悩みを抱いているのだと、逢田さんの表情が語る。
続く「Mirror Mirror」、「夜明けの光を集めながら」はそんな彼女の葛藤を赤裸々に描いている。
「Mirror Mirror」はライブ中で最も力強い楽曲。彼女の1stアルバム、”Curtain raise”の黒を象徴する楽曲。このアルバムでは白と黒のドレスをメインに扱う。ちなみに白に象徴される曲はいうまでもなく、Tieredだ。
そんな黒の象徴である今楽曲は、お姉さんの中に潜む迷いを取り扱った楽曲となっている。迷いながらも力強さを見せつけてくれる。
反面、「夜明けの光を集めながら」はやなぎなぎさんの楽曲で、弱さを吐露するような曲だ。この楽曲のタイトル、「夜明けの光を集めながら」は明日を象徴する朝日を手で隠して、まだ明日は来ないでくれと願う意味となっている。
そんな先に進むことの出来ない弱さは、続く「光と雨」でも垣間見える。「この楽曲は憧れの舞台に立つ喜びを上回る恐怖心に怯える姿と、それを乗り越える力強さが儚さを交えて歌われている。
しかし、大人であるお姉さんは、恐怖心もあるが、前を向くのも早い。自身の弱さを押し殺すように、彼女は立て続けに次の曲を歌う。
その楽曲は、「ME」。逢田梨香子さんの楽曲の中で、最も彼女らしさを曝け出している曲と言っても過言ではないだろう。
今までの自分を振り返って、お姉さんは自分の道を歩む決意を決める。そんなお姉さんの表情は、登場した時のものとは見違えるように決意に満ちている。
お姉さんの決意が固まったところで、このTieredの物語は終盤に差し掛かる。
舞台が暗転すると、ノイズ混じりの音が聞こえてくる。ノイズは次第に大きくなり、それが耳障りに感じるほど大きくなった時、現れたのは三つ葉の結び目M Vのような衣装を着たやなぎなぎさん。楽曲は「星灯りの街灯」。
この楽曲は一番と二番が同じ歌詞になっており、一番は分厚いノイズが曲を覆っていて、二番になるとそれが晴れる構成となっている。
一番に混じるノイズに少年の迷いが垣間見えるが、それが晴れる二番からは少年の固めた決意を感じることが出来る。
二人の決意が決まったところで、特殊イントロを挟んで現れたのは、「Tiered」の歌詞を意識した真っ白なドレスを纏った逢田梨香子さん。逢田梨香子さん美しさに、その場にいた全ての観客が息を呑んだことだろう。
画家のような姿の少年(やなぎなぎさん)とお姫様のようなドレスの対照的な衣装の二人を紡ぐのは、この公演の主題歌「Tiered」。
この公演2度目のTieredだが、1度目と2度目では感じるものの雰囲気も全然違う。それはこの公演で私たちが「Tiered」の世界観に浸り、少年とお姉さんの気持ちに寄り添ってきたからだろう。
歌唱中、二人はお互いを見ることがなかったが、デュエットは完璧だった。心が通じ合っている二人が歌う、思いを思い出に昇華する歌。二人の別れを惜しんでいるのは、きっと二人だけではない。
時間に隔てられた二人の関係。
その関係性では恋は成り立たないからと探した別の居場所。その答え。
この公演の大サビを飾ったのは逢田梨香子さんの楽曲「ORDINARY LOVE」。二人の関係性を居心地の良さでまとめあげたこの曲は、曲の切なさも相まってまさにこの公演の大サビにふさわしい曲だった。
しかし、まだこのTiered公演は終わらない。むしろ、ここからが重要だとすら言えるかもしれない。
この出来事がどのような思い出になるのか。それが大事なのだと、少年は語る。
3度目の朗読劇は、またも少年による独白。Tieredを終え、お姉さんと別れた後の少年が描かれる。
着てもらったドレスが光に透けたあの光景を忘れられないまま、自分の選んだ選択を間違えではなかったと納得しようと苦心する姿が描かれる。
まず歌ったのは「夏凪ぎ」。夏の終わりを感じさせながらも、別れた直後のやるせなさを赤裸々に歌う。
そして伝えられなかった思いを口ずさむ恋歌。
そこから繋がるRoundaboutアレンジのTieredをイメージした特殊イントロの後に、三回目の「Tiered」(Roundabout ver)。*2
流石に一公演に同じ曲三回は無理がないか?となるが、何も問題はない。なぜなら三回歌われたTieredはそれぞれが違う意義を持っているからだ。また、このRoundaboutの「Tiered」は、”Curten raise”の「Tiered」とは全く別物レベルのアレンジがなされていて、別の曲と言っても過言ではない。
今回の「Tiered」は少年(やなぎなぎさん)用にチューニングされた「Tiered」。この「Tiered」は思い出に浸るような懐かしさを感じることが出来るアレンジとなっている。そう、やなぎなぎさんの4thアルバム、”ナッテ”のように......
コンセプトライブTiered、ラストを飾る曲は「natte」。
言わずもがな先ほど挙げたアルバム、”ナッテ”の表題曲だ。
大切な思い出として消化されたこの物語のアルバムをゆっくりと閉じるように、静かにこのライブの幕は閉じられた。
いい余韻だ。
筆者は今、ライブ後に急いで会場近くの喫茶店に駆け込み、急いでこの記事を書いている。渋谷なのでとても大きな雑音に溢れている。
しかし、心はとても穏やかだ。なぜならとても解像度の高い物語を感じれたからだ。
ノイズキャンセリングのイヤホンをつけ、スマートフォンでそっとTieredを再生する。すると色鮮やかなイントロと共に、先程の公演が目に浮かんでくる。
そっと息を吸って、吐く。
そして改めて時間するのだ。Tieredであったの出来事はとても尊い出来事であったと。
きっと、そう感じることがこの物語をハッピーエンドにするのだと思う。
そんな訳で妄想セトリとそれを味わった人間のイマジナリー感想でした。
いいや、私はこのセトリを作成し、何度もこの通りに聞いてきたので、これは私の中だけの妄想ではなく、”本当にあったこと”なのかも知れません。
それはともかくライブセトリを考える遊び、めちゃくちゃ面白いですね。
あるテーマをもとに曲の順番を考えて、文脈を紡ぐ。そうしていろんな楽曲をより好きになっていく。なんだか素敵な気分になりながら楽曲を選んでいました。
今回のセットリストは公式、またはサブスクで聞けるものに関してはリンクを貼っているので、よければ再生しながらこのコンセプトライブTieredをイメージしながら聞いてみてくると嬉しいです。
それでは、また。